写真:京都府城陽市 (有)永田茶園 (左)会長/永田幸吉さん (右)社長/永田恭士さん
有機茶とは農薬を使わず、トンボたちと共に茶葉本来の生命力を引き出すお茶の事。永田茶園は、有機茶ひとすじ50年、親子3代にわたり農薬・化学肥料を使わず、安心安全なお茶づくりに取り組んでいます。そして永田茶園の有機茶葉の素朴な風味を引き出す加工技術は、アメリカ・ヨーロッパ等の海外でも高い評価を受けています。
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京都府の南部。城陽市、宇治市などの山城地区は、日本茶文化800年の歴史が息づき、抹茶、玉露、煎茶を世に送り出したお茶どころ。中でも城陽市は、抹茶の原料・てん茶(蒸し製緑茶)の主要産地として、全国に知られています。
永田茶園は、昭和45(1970)年の創業以来、自社で農薬・化学肥料不使用栽培に取り組むと共に、有機栽培茶全般の製造販売、卸を行っています。
初代の永田愛二郎さんは、昭和初期に15歳で茶問屋に奉公し、後に農林大臣賞を受賞するなど焙煎・加工技術を高く評価された職人でした。しかし、高度経済成長期に入ると、お茶栽培でも生産効率を求めて農薬や化学肥料が当たり前に使われるようになります。農薬で虫がいなくなった茶畑に疑問を抱いた愛二郎さんは、家族に飲ませたくないお茶を売る事はできないと、独立を決意。それまで勤めていた製茶卸店を離れ、試行錯誤しながら農薬や化学肥料に頼らない有機農業に取り組みます。そして、収穫した茶葉を自身で加工した有機茶を販売することにしたのです。
過度な栄養を施さず、自然の土で茶樹を4〜5年かけて育て、しっかりと根を張らせる。農薬を撒かない茶畑では、トンボやクモ、テントウムシ、カマキリなどの益虫が生息し、アブラムシやダニといった害虫を食べ、茶葉を守ってくれます。そんな自然の生態系が息づく環境で、茶樹はその根から栄養をたっぷり取り込み、茶葉本来の生命力を引き出しているのです。
“人々の健康と後世に残せる環境を願って”・・・愛二郎さんの理念そのものの有機茶づくりは次第に支持され、昭和52(1977)年には、東京のオーガニック食品を扱う商社を介し、アメリカ・ヨーロッパ諸国へ輸出されるようになります。
有機茶葉の素朴な風味を引き出す愛二郎さんの日本茶の加工技術は、海外でも高い評価を受けるようになりました。
同年、愛二郎さんの後を継いだ息子で現会長の永田幸吉さんは、誇りをもって有機栽培に取り組む生産者を守るため、平成4(1992)年、有機栽培認定組織のオーガニック国内認定機関(NINK)を仲間たちと立ち上げ、明確な評価基準を設けました。現在、有機農業の促進と有機食品の認定を行うJONA(日本オーガニック&ナチュラルフーズ協会)の前身です。
「有機栽培は、技術が完成されているようでも未知の部分が多く、試験栽培に挑戦しています」と話すのは、幸吉さんの息子で3代目社長の永田恭士さんです。恭士さんは、自社製品で人気の高い『有機ほうじ茶』の焙煎技術を愛二郎さん直伝で継承しました。
また、丹精込めて生産した有機茶葉の魅力を消費者に知ってもらうため、抹茶と海水塩をブレンドした『抹茶塩』や、有機茶葉と米水飴使用の『飴』など、加工食品を意欲的に送り出しています。